燃ゆる暗闇にて観劇レポート

私が観劇したのは佐奈さんイグナシオ初日、坪倉さんイグナシオ初日と千穐楽の3回でした。
席は中央、上手、下手の10列目付近でした。
見事に座席が分かれてくれて、色々な角度から見れて嬉しかったです。

ストーリーについて

一言で言うなら『重い』これ以上ぴったりくる言葉が見つかりません。
正解が無く、誰も幸せになれないまま終わるストーリーでした。
見終わった後に『どうすれば良かったんだ〜』と叫びたくなるようなもやもやが残るストーリーで、終わったあと悶々と考えさせられました。

ロリータ役 菅原りこさんについて

全体通して本当に良かったです!
歌唱に関しては歌声が綺麗なのも素敵ポイントですが、歌詞が聞き取りやすいのが本当に素晴らしかったと思います。
私はミュージカルは歌も台詞の1部だと考えているので、まず音程よりも歌詞の聞き取りやすさを重視してます。その点今回のりったんの歌唱はバッチリでした。

ダンスに関しては体の芯がしっかりしていて指先まで美しく素敵でした。流石の得意分野!

そして今回なにより良かったのは演技部分だと思います。
手の動かし方、耳の傾け方、なにより目線の動かし方が素晴らしかった。
オペラグラスで表情を見るたびに焦点の合ってない目線をみてゾクゾクしてました。

カルロス役 渡辺碧斗さんについて

感受性の高い役者さんという印象でした。
初日から目に涙をためていらして、千秋楽ではボロボロ涙がこぼれるレベルで本当に役に入り込んでいるんだなという印象を受けました。
歌唱が初日から1番伸びたと思います。
初日は感情に歌が揺さぶられすぎて少し聞きづらい場面があったのですが、千穐楽は歌声に感情がしっかり乗ってダイレクトに響いてきました。

【個人的カルロス好き場面】
ホアナにつげる『休めよ”もう遅い”』の台詞部分がホアナへの気遣と戻れない未来へのダブル•ミーニングになっている場面。
台詞の声は優しいんだけど、同時に強い意思を感じさせる声音で本当に素晴らしかったです。
個人的に辛すぎる場面No.1です。

イグナシオ役 佐奈宏紀さんについて

全体を通して『怒り』を強く感じました。
赤い炎がずっと燃えていて本人もコントロール出来ない苛立ちにずっと蝕まれている印象でした。
歌声もパワフルで素敵でした。
佐奈さんイグナシオはラスト少し楽になれた印象を受けたので、個人的に救いを感じました。
柔らかい微笑みにそんな顔出来るようになったんだなと感慨深いものがありました。
対比としてカルロスは全てを失ってしまった感が強くてラストが本当に辛かったです。
カルロスとイグナシオどちらも感情のままにぶつかり合っている印象がありました。
もっと落ち着いて話し合えば違う未来があったんでは無いかなという気持ちときっとこの2人が落ち着いて話せるのは10年とか20年の歳月が流れないと無理だろうなという気持ちが同時に湧き上がるようなコンビでした。

イグナシオ役 坪倉康晴さんについて

『悲しみ』を強く感じました。
自分の居場所も守りたいけれど、カルロスの居場所も奪いたく無い、どうにかわかり合いたいという気持ちを強く感じて切なかったです。
ラスト屋上で見せる笑顔が儚くて、カルロスへの優しさに溢れているように感じました。
カルロスの幸せを心から願ってくれたんじゃないかなと勝手に想像してます。
イグナシオの方がカルロスより精神的に1つ上を行っている印象で、カルロスがほんの少し受け入れることができたら盟友になれたんでは無いかと感じるくらい坪倉イグナシオからは優しさを感じていました。
歌声も柔らかい印象で、個人的にミゲリン役のコゴンさんとの声の相性が良いなと思いました。

『可哀想な盲人だ』の台詞が佐奈さんイグナシオと坪倉さんイグナシオの違いがよく分かる場面だと思いました。
佐奈さん→苛立った怒りに満ちた感じ
坪倉さん→少し寂しさを感じる諦めに満ちた感じ
どちらも良くてWキャストをとっても楽しめました。

まだまだ書きたいことが沢山あるんですが、長くなってしまうのでこの辺りにしておきたいと思います。
どの役者さんも熱量高く素敵な舞台でした。
照明の演出も効果的で途中暗闇に包まれ台詞だけ聞こえてくるシーンは見えない世界を体験出来てぞわっとする感覚がありました。

カーテンコールのりったんはいつものりったんで舞台の重さを中和してくれました。
話の終着点を見失うとさっと寄り添ってくれるエスペランサ役の日髙麻鈴の優しさにほっこりしました。
千穐楽は普通に挨拶しただけで壮さんが笑うレベルになってました(笑)

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